天ヶ瀬くんは甘やかしてくれない。

図書室の奥の窓を開けると、一直線に見えてしまう学校の門。

下校していく生徒たちがちらほらいる中で、見つけてしまった。


自分のタイミングの悪さはほんとについてないと思う。


ちょうど……


門のところで、天ヶ瀬くんと唯乃さんが帰っていくところが見えてしまった。


きっと、唯乃さんが迎えに来たんだ。

前に女子の間での噂を耳にしていた。


最近放課後、天ヶ瀬くんと他校の女の子が一緒に帰ってるって。

まさかとは思っていたけど。


こんな形で、2人を見ることになるなんて。


さっきの廊下から聞こえてきた会話はいつか、わたしと天ヶ瀬くんに向けられる日が来るのは時間の問題だろうなって思った。