天ヶ瀬くんは甘やかしてくれない。
━━━ガチャッ!
そんなわたしの元に愁桃が来てしまった。
部屋の扉が開いて、中に愁桃が入ってくる。
力なく横になるわたしを見て、一瞬暗い顔が見えてしまった。
「……早くしないと遅刻すんぞ」
「ん……」
すると、起き上がる前に愁桃がわたしのいるベッドにきた。
「?」
「いつまでも暗い顔してんじゃねーよ。ほら、起きろ」
両脇に愁桃の手がきて、身体を抱き上げるように起こされた。
「っ!?ちょ、どこ触って……」
脇のあたり触られたらくすぐったいし、手の位置が際どいし……!
「はぁ?別にいいじゃねーか。俺たち付き合ってんだし」
っ……。あぁ、もう。
あの日、天ヶ瀬くんと別れたあと、愁桃の優しさに甘えて付き合うことを選んでしまった。