天ヶ瀬くんは甘やかしてくれない。
あぁ……なんでこんな……。
終わったはずなのに……ただ、少しだけ触れられて、目が合っただけで、こんなにも胸が騒がしくなる。
ギュウッと苦しい……。
この人の好きな人に……特別になれたら……。
今更こんなこと思っても仕方ないのに。
捨てきれない……この想い。
「浅葉さん?きちんと前向きなさいよ?」
先生の声にハッとして我に返った。
いったいどれくらいの時間、天ヶ瀬くんを見つめてしまっていたんだろう。
向こうは何も言ってこなかった。
だけど、視線はお互いそれることはなかった。