天ヶ瀬くんは甘やかしてくれない。
そんなわたしを見て、呆れたかと思えば。
「起きねーと変なことすんぞ?」
「んえ?変なことって?」
まったく想像がつかなくて、思ったままの疑問を投げつけると。
今までシャープペンを握っていた、愁桃の綺麗な手が、わたしの頬に触れた。
ツンツンしたり、むにゅって引っ張ったり。
「な、なに?顔になんかついてる?」
「はぁ……お前ってほんと危機感ねーよな」
いや、今更じゃない?愁桃とわたしとの間で危機感持つようなことある?
「なにそれ、意味わかんない。疲れたからベッド借りる」
よくわかんない愁桃は放っておいて、ベッドで横になって休む。
すると、すぐに盛大なため息が聞こえてきた。
「……無防備すぎんだろ」
「え?」