天ヶ瀬くんは甘やかしてくれない。
急に変なこと言い出すから調子狂うし。
「な、なんなの急に…!」
「ん?お前の警戒心のなさをどうにかしようと思って」
たしかに、愁桃の前では警戒心とか全くないし、むしろずっと一緒にいるせいで、安心感のほうが強かったりする。
「覚えとけよ?俺は幼なじみじゃねーの。ひとりの男だから」
「っ、」
なにさ…愁桃のくせに。
急に男らしい一面を見せてこられて、その変化についていけない。
胸がざわざわする、落ち着かない。
胸に手を当てると、さっきよりも脈が速い。
━━コンコンッ。
急に部屋の扉がノックされて、さらにドキッとした。
「愁桃、ももちゃん?まだ勉強かかりそう?ご飯できわよ?」
扉が開いて、愁桃のお母さんがそう言った。
時計を見ると、それなりの時間。
グゥゥとお腹も鳴り出した。