天ヶ瀬くんは甘やかしてくれない。
「……いま付き合ってる子はいいの?」
「別にいいんじゃない?まさか本気で付き合ってるわけじゃないし」
ほんとこの人の性格は最低だ。
誰がみても、誰が聞いても。
人の気持ちを弄んで、簡単に踏みにじってしまう。
きっと、明日になって別れようと言われて悲しむ彼女の気持ちなんか何も考えずに
そんなことが言えてしまう彼はどこまでも最低だ。
「最低…だね」
わたしの一言に対しても、何も動じず。
「そっちがそー思うなら最低でも何でも思っとけば?」
こんな人を好きになってる自分の方がどこまでも歪んでいるのかもしれない。
「んで、どーすんの?」
ジリジリと距離を詰めて。
「こんな最低な俺の彼女になる?」
最低だってわかっていても。
自分の中にいる、歪んでいる自分が
この囁きに揺れている……。