天ヶ瀬くんは甘やかしてくれない。
どこに連れて行かれるのかと思えば、連れてこられた場所はとても意外な場所。
「か、観覧車……?」
何が起きているのかわからないわたしの手を引いて、そのまま中に乗り込む。
「はーい、2名さまいってらっしゃーい」
そんな声が聞こえて、バタンッと観覧車の扉が閉められた。
急すぎる展開にまったくついていけない。
ここの遊園地の観覧車は結構有名で、一周するのに約30分くらいかかる。
つまり……この空間で少しの時間だけ天ヶ瀬くんと2人っきりの密室空間。
とりあえず、ずっと立っているのは危ないので、座った。
そして、わたしの正面に天ヶ瀬くんが座った。
「…………」
「…………」
沈黙が流れる。
そもそも、なんでこんな2人っきりの空間を作られたのかわからない。