天ヶ瀬くんは甘やかしてくれない。



だけど、それは効果がなくて。


「もも……」

「っ……」


一気に気持ちが引き込まれてしまう。
絡み合う視線と、触れられる感覚のせいで、身体が熱くなってくる。


「今は……俺だけ見てなよ」

「……んっ」


歪めた顔が、少し傾いて近づいてくるのが見えて

ギュッと目をつぶったすぐ。

柔らかい感触が唇を包み込んだ。


抵抗することなんてできなかった。


最初は少し触れただけで、すぐに離れて、再びお互いの視線が絡んだとき。


何も言わず、さっきより強引に唇を塞がれた。


「っ……ダメ…んぅ……」

「……黙って」


言葉を発すことすら、許さなくて。
酸素を取り込もうとしても、その隙すら与えてはくれなくて。


……唇を挟んで、甘く噛んでくる。


クラクラする……。何も考えられない。

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