天ヶ瀬くんは甘やかしてくれない。
ハッとした。
「……ご、ごめん……っ」
気づいたら押し返して、ごめんの言葉が出てしまっていた。
あぁ……もう。
自分が苦しむだけならいいのに。
相手を苦しめて傷つけることはしてはいけないのに。
気持ちがぐちゃぐちゃになって、自分の気持ちが今どこにあって、誰に向かっているのか、わからない。
中途半端すぎる……。
悲しい笑みをとらえてしまった……。
違うのに…そんな顔をさせたいわけじゃなかったのに……。
「ごめんな。今日疲れたよな。ちゃんと休めよ?」
こんな気を遣わせることを言わせてしまって、何も返すことができず。
ただ、首を縦に振ることしかできたかった。