天ヶ瀬くんは甘やかしてくれない。
受付を通り越して、ずんずん中に進んでいく唯乃さん。
なんでここに連れてこられたのか、わからないし、勝手に中に入って大丈夫なんだろうか?って思いながら、ついていくと。
「ここで座って待ってて。パパ呼んでくるから」
そう言われて、支持された場所に座って待つこと数分。
唯乃さんと、白衣を着た、年配の先生が救急箱のようなものを持ってこちらにやってきた。
「パパ、この子、わたしが落ちそうになって助けてくれた時に、手首ひねったみたいだから手当てしてあげてほしいの」
唯乃さんのお父さんって病院に勤めてる人なんだ。
なかなか急すぎる展開についていくのに必死だ。
「おやおや。そうなのかい?娘を助けてくれたのか。ありがとうね」
優しくこちらを見て笑った。