天ヶ瀬くんは甘やかしてくれない。
「珍しいんだ。唯乃がこうやってお友達を連れて来るのは」
「いや……友達って呼んでいいのかわたしもよくわからないんですけど……」
「おや?友達ではないのかな?」
「……たぶんわたし唯乃さんに好かれてないと思うので」
わたしがそう言うと、目をまん丸にして驚いた顔をしていた。
「ははっ、それはどうかな?あの子は人の好き嫌いが激しい子でね。わがままに育てすぎたわたしも悪いんだがね。自己主張が激しくて、協調性がなくて、昔から友達が少ない子だったんだ」
そのまま、唯乃さんのお父さんは話し続ける。
「だから、家にお友達を連れて来たことはないし、ましてやここに連れて来るのは初めてでね。よほど大切な子だから急いでわたしの元に連れて来て、手当てを頼んだのかなと思ったんだけどな」