天ヶ瀬くんは甘やかしてくれない。
ドサっと座って、腕を組んで、相変わらず態度が大きいなと思っていたら。
「なんかパパと仲よさそうに話してたのね」
「あ、なんかわたしと唯乃さんが友達だと思ってたみたいで」
「やだ、何それ。気持ち悪い。ちゃんと否定したの?」
気持ち悪いって、何もそんな言い方しなくても。
「否定はしてないかもです」
「……あっそ」
ここで一度会話が切れてしまった。
しばらくの間、何も話すことがないかと思えば。
唯乃さんから口を開いた。
「ねぇ、最近のゆづくんって何考えてると思う?」
いきなり何を言うのかと思えば、天ヶ瀬くんのことで。
そんなことわたしが知るわけもないのに、わたしに聞いてこられても困る質問だ。
「それは唯乃さんのほうがよくわかってるんじゃ…?」
「そうね。わかってるから腹がたつんだけどね」
「え?」