天ヶ瀬くんは甘やかしてくれない。
「はぁ……っ」
「息続かない?」
結構長い間、塞がれていて、息をするタイミングを逃してしまい、離れた今、酸素を一気に取り込む。
「き、キス……長いよ……っ」
必死なわたしとは正反対で、まだ足りなさそうな顔をしている天ヶ瀬くん。
「久しぶりしたら止まんなくなった」
「っ、」
再び、顔を近づけられて、今度は抵抗して、天ヶ瀬くんの胸を押し返した。
「なに?ダメなの?」
「だ、だって……わたしいま一応愁桃の彼女で……ちゃんとけじめつけないと……」
天ヶ瀬くんの気持ちを聞けたのは嬉しいけれど、愁桃のことを考えると、きちんとしなくちゃいけないって思う。
今さらかもしれないけれど……。
「あー……なんかムカつくね。ももの彼氏がアイツだと思うと」