天ヶ瀬くんは甘やかしてくれない。



「で、でも……わたしのことすごく大切にしてくれて、つらいときにそばにいてくれたから……」


「へー。で、ももは俺と幼なじみどっちが好きなわけ?」


「い、いや……、どっちが好きとか」


「答えなきゃ無理やりにでも口塞ぐよ?」

「っ、何それ……」


強引なところは、変わってない。

きっと、このまま答えを曖昧にしたら、それこそ何をしてくるかわからない。


「ねー、答えないの?」

「っ、」


「それとも無理やりされたい?」

「……なっ、そんなわけな……」


まだ、わたしが喋っている途中だっていうのに。

無理やり塞がれてしまった。


「ま……って……」

「聞こえない」


嘘つき……聞こえてるくせに。


こうなったら、わたしが好きと言うまで離してはくれない。

息が苦しくて、天ヶ瀬くんのシャツを握りながら限界のサインを送るけど、離してはくれない。

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