天ヶ瀬くんは甘やかしてくれない。
「やっと帰ってきたか。連絡取れねーし、帰ってきてねーし、心配しただろーが」
「ご、ごめんなさい……っ」
まさか、ずっとここで待っていてくれたの……?
そう思うと、さらに罪悪感が増してきて、申し訳ない気持ちでいっぱいになる。
正直、今こうして、天ヶ瀬くんと並んでいる姿を見るのは愁桃にとっては残酷で、つらいことなのに……。
だから、思わず手を離そうとしたのに。
ギュッと強く握ってきて離してくれない。
そんなわたしたちを見て、愁桃が悲しく笑った……。
「……やっぱ俺じゃダメだったんだな」
静かな空間に弱い声を拾った。
ハハッと、無理して笑いながら上を見る姿を見て、胸が痛んだ。
結局、わたしは愁桃を傷つけた。
きっと、こうなることは予想できていて、あのとき、愁桃の優しさに甘えてしまった弱い自分が招いた結末。