天ヶ瀬くんは甘やかしてくれない。



そう、そこに偶然いたのは、
黒の学ランに、真っ黒の髪をした男の子。

きっと、わたしと同じ中学生。


「その子泣いてんじゃん?ねー、おじさん?」

「チッ…!!」


その男の子のお陰で、その人はバスから逃げるように降りていった。


そして、肝心のわたしは一気に安心したのか、なんとその場で気を失ってしまった。



次にわたしが目を覚ましたのは、とある場所の保健室だった。


「ん……」


「あら、目が覚めたかしら?」


真っ先に目に入ってきた白い天井と、柔らかい女の人の声。


「あ、あれ…わたし……って、ここどこですか?」


「ん?ここは、あなたが受験する予定の高校の保健室よ?」


「へ?」


え、あっ、そうだ。
わたし今日入試で、それでこの高校に向かって、バスに乗って……


変な人がいて、男の子が助けてくれて……


そのあとどうなったんだっけ?

< 26 / 327 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop