天ヶ瀬くんは甘やかしてくれない。
「俺はももが幸せならそれでいいから。それができるのは悔しいけど天ヶ瀬しかいねーんじゃねーの?」
「ご、ごめん……なさ……」
「謝んなよ。べつになんも悪いことしてねーじゃん。それに振られるより謝られるほうが傷つくだろ?」
「でも……愁桃のことたくさん傷つけちゃって……」
「お前なぁ、俺がいいって言ってんだからそんないろいろ言うなよ。あ、もしかして俺と離れたくないからそんなこと言ってんのか?」
「そ、それは……」
「いまお前がそばにいたいと思うのは俺じゃないだろ?」
そう言うと、ずっと黙ってわたしの横にいる天ヶ瀬くんを見た。