天ヶ瀬くんは甘やかしてくれない。
「もっとおとなしいと思ってたらけっこー言いたいことはっきり言うし。しかもあんな堂々と好きにならないって言われたのはじめてだったし」
さらに天ヶ瀬くんは。
「男に慣れてるからそんなこと言ってんのかと思ったら全然慣れてないし。よくわかんない子だって思ってたけど、逆にすごい興味わいたし」
「なんか複雑デスネ……」
それって結果的に良かったのかな?
よくよく考えたら、天ヶ瀬くんと2人で日直で残ったあの日。
あんなことがよく言えたなぁと思う。
今の自分だったら絶対言えないと思うもん。
「まあ、どんなももでも俺はけっこー好きだけどね」
いつか、この余裕そうな顔を崩してやりたいと思ったけど。
たぶん、わたしがどれだけ頑張っても無理なんだろうなって思った。