天ヶ瀬くんは甘やかしてくれない。
━━というわけで、放課後。
「天ヶ瀬くん、ちょっとお話が」
座っている席からくるっと身体を後ろに回転させて、机に突っ伏して眠っている天ヶ瀬くんに話しかける。
「……なに、俺寝てんのに」
「起きてお話を聞いてほしいのですが」
「起きてるからそのまま要件だけ言いなよ」
もう……。少し顔上げてくれればいいのに。仕方ない、このまま話すか。
「あの、ラブレターをもらいまして」
「……誰が?」
「わたしが」
「……は?」
あ、顔上げてくれた。
だけど、眉をひそめて、何言ってんの?って顔でこちらを見ている。
そんな天ヶ瀬くんにラブレターを見せてみると。
「あやし……。誰かがからかってるだけじゃないの?しかもこんなんラブレターって言わないし」
「えぇ、でも、こっそり机の中に入れられてたんだもん」
「こんなの信じるとかバカすぎ」