天ヶ瀬くんは甘やかしてくれない。



あ、でもわたしはもう受けれないのかな。

もう試験は終わってしまってるし。


「あ、あの……」

「あら、そんな不安そうな顔しなくても試験のことなら大丈夫よ?」

「え?」


「あなたは事情が事情だから、後日特別に試験受けることができるから」


「ほ、ほんとですか!」


「えぇ。男の子が理由をしっかり学校側に説明してくれてね。この子は何も悪くないんでまた後日試験受けさせてあげてくださいって」


名前も知らなくて、顔もちょっとしか見てない男の子。


せめて、きちんとお礼くらい言っておきたかったけど。


その男の子とは、それから会うことができなくて。


後日、試験を受けて、無事にこの高校に合格して


助けてくれた男の子を探した。

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