天ヶ瀬くんは甘やかしてくれない。



「キミさー、結構噂になってるよね。彼氏と別れたらすぐ次作ってるらしいじゃん?」


そんなことないって否定したいのに、この状況に恐怖を感じて、声が出ない。


「誰でもいいなら、俺の相手もしてくんない?」


わたしの両手首をおさえるほうとは反対の手で、脚をなでられた。


「や、や……だ……っ」

「へー、けっこー可愛い声じゃん」


き、気持ち悪い……っ。

撫でられるたびに、身体がゾクっと震える。


逃げたいのに、力じゃ敵わない。
声を出そうにも、出そうにないし、
もし出たとしても、こんな人通りが少なかったら誰も助けには来てくれない。


「別に声我慢しなくていいよ?ここ誰も来ねーから。けどその様子だと怯えて声出ねーんだろうけど」

「っ、めて……ください……」


足が震えて、声も震える。

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