天ヶ瀬くんは甘やかしてくれない。
だけど身体の震えは止まらない。
そんなわたしを安心させるために、さらに強く抱きしめてくれる。
「今回は見逃しますけど、次この子になんかしたらただじゃおかないんで」
そう言うと、わたしをふわっと抱き上げて、その場を去った。
無言でひたすら、歩く天ヶ瀬くん。
そして連れて来られた場所は保健室。
先生はいなくて、何も言わず保健室の扉を開けて、鍵を閉めて。
ベッドがあるほうへ足を進めて、薄いカーテンで閉め切って、密室を作られた。
そっと、ベッドの上に降ろされた。
その隣に天ヶ瀬くんが腰を下ろした。
そして。
「バーカ」
「い、いたっ……」
おでこに軽くデコピンをくらった。