天ヶ瀬くんは甘やかしてくれない。
「ほーら、アイツにどこ触られたの?」
これは言わないと、何をされるのかわからない。
けど、自分で言うのはやっぱり恥ずかしい…!
「ねー、早く言って」
「……さ、触られたって言っても、脚少し触られただけで……っ」
「あとは?」
「く、首……少しだけ、噛まれた」
わたしが全て言うと。
今日いちばん大きなため息が上から降ってきた。
「ほんとさー、ももってなんでそんなバカなわけ?」
「え、いや……バカってわけじゃ」
「バーカ、ほんとバカ。ありえない、なんで俺以外の男に触られてんの」
ムッとした顔が見えたと思ったら、首筋に顔を埋めて、甘く噛んできた。
比べちゃいけないって、わかってるけど。
天ヶ瀬くんに触れられると、身体が熱くなって、ドキドキして。
さっきは、触れられるたびに怖くて、身体の熱がなくなってしまうくらいで。