天ヶ瀬くんは甘やかしてくれない。
わたしが聞いてる質問に答えは返ってこず。
それどころか、ネコカフェに来ているわたしじゃない女の子を見て
「あーゆーの好き」
指差しながら、ジーッとその子を目で追っていた。
な、なんて人だ…!仮にも彼女であるわたしと来ているのに、他の女の子に目移りして、おまけに好きだと…!?
わたしがむすっとして睨むと。
「あー、好きって言ったのはあの子の格好のこと」
「か、格好?」
「そー。あのフリフリしたワンピースに、巻き髪にポニーテールとか好き」
た、たしかに。天ヶ瀬くんが言う通りの格好と髪型をしていた。
「あ、天ヶ瀬くんはあんな感じの子が好き……なの?」
「うん、好き。ってか、男はあーゆーのどストライクで好きだと思う」