天ヶ瀬くんは甘やかしてくれない。
「……もーも」
「………」
「おい、起きろってばもも」
「……ん、」
いけない、なぜか昔のことを思い出していた。
この出来事をきっかけに、わたしは天ヶ瀬くんに興味を持つようになって、
一気に気になる存在になった。
助けてくれただけでもかっこよかったのに。
何より、天ヶ瀬くんは面倒ごとに巻き込まれるのが苦手なのに。
それなのに、あの時の天ヶ瀬くんはわたしを助けてくれた。
それを知って、もっと好きになった。
ほんとはお礼を言いたかった。
だけど、未だにそれを言えていないのが現状。
なんとなく天ヶ瀬くんが出会った時と、今と人が変わってしまったような気がした。
そんなのわたしの気のせいだろうけど。