天ヶ瀬くんは甘やかしてくれない。



シャワーから戻ると、ベッドにゴロンっと横になっている天ヶ瀬くん。

寝てるのかな?
起こさないように、ベッドの端っこに腰かけたら、ギシッと音が鳴った。


その音でわたしがシャワーから出てきたのに気づいたのか、目をこすりながらこちらを見ていた。

そして予想外のことを言ってきた。


「……ポニーテール」

「んえ?」


あ、そういえば。さっきシャワー浴びたときに髪をひとつでまとめるために上で縛ったんだ。


まさか、こんなタイミングで天ヶ瀬くんの好きなポニーテールをやってしまうとは。


寝ていた身体を起こして、後ろからわたしを抱きしめてきた。


「ももが髪縛ってるのって新鮮」

「あ、そうだよね。普段下ろしてばっかりだから」


「俺にオオカミになってほしくてポニーテールにしてきたの?」

「うん……ん!?」

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