天ヶ瀬くんは甘やかしてくれない。
「天ヶ瀬くん」
「……ん、なに?」
窓の外から視線を外して、わたしのほうを向いてくれた。
「今日、わたしたち日直だって」
「……めんどくさ」
日誌を見せると、嫌そうな顔をされた。この反応から、たぶん日誌を書いてと言っても書いてくれないだろう。
だから日誌はわたしが書くことにした。
「あとね、放課後にまたプリントのホッチキス留め頼まれた」
「引き受けたわけ?」
「うん、だって頼まれたし」
「……めんどくさい、帰りたい」
「えぇ、もう引き受けちゃったよ」
それに、前2人で日直で残ったとき、そんな面倒くさそうにしてなかったじゃん。
「んじゃ、もも1人で頑張ればいーじゃん」
「いいもん。天ヶ瀬くんが手伝ってくれないなら、愁桃に残って手伝ってもら……」
「バーカ、そんなの俺が許さない」