天ヶ瀬くんは甘やかしてくれない。



やっぱり、そう言うと思った。

今わざと愁桃の名前を出してみた。
たぶん、わたしと愁桃を2人っきりにさせたくないって言うと思ったから。


「じゃあ、天ヶ瀬くんが一緒に残ってよ」

「…………」


無言で嫌そうな顔をしてくるけど、嫌とは言ってこない。

作戦成功かな?


「日誌はわたしが書くから。放課後一緒に残ってくれる?」

「……わかった、いいよ」

渋々了承してくれた。


***


こうして、迎えた放課後。


先生に教卓に呼ばれて、天ヶ瀬くんと話を聞く。


「はい、じゃあ前回同様お願いね?留め方は前とは違って……って、天ヶ瀬くん聞いてるの?」

「聞いてますよ、たぶん」


たぶんって…。どうせあとでわからなくなってわたしに聞いてくるんだろうけど。

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