天ヶ瀬くんは甘やかしてくれない。
天ヶ瀬くんの反応からすると、心当たりがない様子。
「唯乃さんが言ってたの。わたしの名前呼んでたって」
「……最悪…寝ぼけてた」
最悪なんて言わなくても。
複雑だったけど、わたしを呼んでくれて嬉しかったのに。
「はぁ……無意識にもものこと求めてたって思うと俺すげー惚れてんだね」
そんな不意にストレートに言わないでほしい。
「あと、わたしが風邪で早退した日から学校お休みしてたんだよね?あれって唯乃さんのことで?」
「……そーだね。引越しの準備とか唯乃のわがままに付き合ってたら、学校行ってるひまなかったし」
やっぱり、唯乃さんのためだったんだ。過去のことだってわかってるのに、ヤキモチを焼いてしまう。
「拗ねてんの?」
「拗ねて……ない」
やだな、すぐに顔と態度に出ちゃう。