天ヶ瀬くんは甘やかしてくれない。
「嬉しいな…っ」
隙間がないくらい、ギューっと抱きつくと、代わりにため息が返ってきた。
「あんま引っつかれると理性が死ぬ」
「離れちゃダメ……だよ?」
天ヶ瀬くんの胸に埋めていた顔を上げて、見つめると。
「……はぁぁ、無理、死んだ」
「え、ちょっ……んっ」
いつもより、だいぶ強引にキスをされた。
角度を変えながら、何度も求められて、息が続かない。
「あー、やばい。止まりそうにない」
部屋は暗いけど、見えてしまった。
いつもの余裕な天ヶ瀬くんはどこかへいってしまって。
何かを欲するような目をしながら、わたしを見つめてくる。
「やっぱ抱きしめて寝るとか無理」
そう言って、わたしから距離を置いた。