天ヶ瀬くんは甘やかしてくれない。
「別の部屋で寝るから、ももはここで寝て」
「や、やだって……言ったら?」
「襲う」
「えぇ……」
そんなはっきりした答え出さなくても。
「今日はほんと余裕ない。たぶんこれ以上一緒にいたら何やらかすかわかんない」
「一緒にいたいのに」
「俺も男だから。いままで我慢してきたの褒めてよ」
「褒めたら一緒に寝てくれるの?」
好きな人に抱きしめられて眠るのに憧れてたのになぁ。
唯乃さんにはできて、わたしにはできないのが気に入らない。
「……ダメ、かな?」
少しの抵抗として、天ヶ瀬くんのシャツの裾をキュッと握る。
「……そんな可愛いの俺教えた覚えないんだけど」
「自然と覚えました……」
「なにそれ、タチ悪すぎ」
不満そうに愚痴を漏らしたけど、再びわたしを抱きしめて眠ってくれた。