天ヶ瀬くんは甘やかしてくれない。
そもそも、天ヶ瀬くんはわたしがこんな目に遭ってるなんて知るわけないのに。
「……天ヶ瀬くんのバカヤロー!!」
床にペシャント座りながら、天ヶ瀬くんの名前を叫んだ。
「天ヶ瀬くんのせいで足くじいた!!」
どうせ、こんな体育倉庫なんか誰も来ないし、助けに来ないし。
だったらとことん叫んでやる。
「なんでわたしがこんな目に遭わなきゃいけないのー!!」
意外と大声出すのも悪くないかも。
「わたし何も悪いことしてないのにー!天ヶ瀬くんのタラシ!!」
散々叫んでスッキリした。
ほぼ天ヶ瀬くんの愚痴みたいなものだけど。
こんなの本人に聞かれたら大変。
そう、大変なことになるのに。
扉越しから。
「誰がタラシだって?」
聞き覚えのある声が聞こえてきた。