天ヶ瀬くんは甘やかしてくれない。



すると、なんともイジワルそうな笑みを浮かべながら

しゃがんでいるわたしに目線を合わせて、同じように天ヶ瀬くんもしゃがんだと思ったら。


「助けてほしい?」

いきなり、顔を近づけてきて、そんなことを言う。

「も、もちろん」


すると、天ヶ瀬くんの人差し指がわたしの唇にグッと押し付けられて。


「んじゃ、ももからキスして」


「ん……?は、はぁ!?」


いや、なぜにこの展開でその考えに至る!?


「ほら、はやーく」

「いや、天ヶ瀬くん。頭は正常ですか?」


「いつも通り正常」

「異常にしか見えな……」


「それ以上余計なこと喋ったらそのうるさい口塞ぐよ?」


……黙ります。


もう、なにさ。いきなりこんなこと言うなんて。

ほんとなに考えてるの?

< 54 / 327 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop