天ヶ瀬くんは甘やかしてくれない。
「擦り傷じゃなくて、足首ひねったのが痛かったの!」
なんとかこれでごまかしたい。
「……なに、足首もケガしてんの?」
なにせ、突き飛ばされましたからね。
そりゃ、痛いですよ。
すると、わたしのそばから離れて
湿布と氷を持ってきてくれた。
「もっかい足貸して」
「え、いいよ!自分でやる」
何度もこんな風に簡単に触れられたらこっちの身がもたない。
なのに、そんなのお構いなしで。
「んっ……つめたっ」
ひんやり冷たい湿布が足に貼られると
変な声が出てしまった。
「そんな声出すんだ?」
「い、今のは不意打ちってやつだもん」
「俺もものそーゆー声好き」
「なっ、」
フッと笑っていた。