天ヶ瀬くんは甘やかしてくれない。
自分が自分じゃないみたいで、
変な声が出ないように抑えようとすると。
「……声我慢してんの?」
「っ……ない」
もはや声にもなっていない。
そんなわたしをからかうように、さらに深く口づけをしてくる。
はじめてした時なんか比べものにならない。
ここまできたら、どこまでも天ヶ瀬くんにハマっているんだって教え込まれてるみたいだ……。
唇が離れた時には、顔全体が熱くて酸素を取り込むのに必死だった。
それに対して、天ヶ瀬くんは息なんか切らすどころか、なんだか物足りなさそうに見える。
「煽ったももが悪いから」
「へ……」
間抜けな声を出している場合じゃない。
わたしの身体はいとも簡単に、天ヶ瀬くんの手によって、倒されてしまった。
ギシッとベッドの軋む音が耳に入ってきた時には、天ヶ瀬くんが上に覆いかぶさっていた。