天ヶ瀬くんは甘やかしてくれない。



ガラガラっと保健室の扉が開いた音がした。

「あら、誰かいるのかしら?」

すぐに綺麗な声が聞こえた。
間違いない、養護教諭の浜山先生の声だ。


「あー、邪魔入った」


そして、わたしたちがいるベッドの方に浜山先生が来て、見つかってしまった。

わたしたちを見て、目をパチクリさせている。


……あ、しまった。

覆いかぶさる天ヶ瀬くんを見てやばいと思った。

これはどう見ても、誰が見ても、そういうことをしようとしているようにしか見えない。

ここは学校の保健室だっていうのに。
なんてこった、こんなところを先生に見られてしまうとは。

この状況だと言い訳なんかできるわけもなく。


「あなたたち何をしてるのかしら?」

ニコニコ笑っていた。
いや、正確に言えば顔に怒りマークが出ていた。

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