天ヶ瀬くんは甘やかしてくれない。



「あら、誤解されるようなことしてるのはどこの誰かしら?」

なんだ……。
そっか、勘違いしちゃいけない。

天ヶ瀬くんがこうやってわたしに触れてくるのは好きだからとかそういうわけじゃない。

いろんな子とそういうこと…してるんだから。


触れられて、ドキドキして。
だけどそれと同時に虚しさも感じる。

こうやって、触れるのがわたしだけなら、こんな気持ちになることなんかないのに。


「今日のところは許してあげるから早く帰りなさい」

先生にそう言われて、2人で保健室をあとにした。


下駄箱で靴を履き替えて、門を出るところまでやってきた。


「あ、そういえば……」

「なに?」


ふと、あることが気になって声を出してしまった。

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