天ヶ瀬くんは甘やかしてくれない。
「どうしてわたしが体育館倉庫で閉じ込められてること知ってたの?」
あの時、ふつうに天ヶ瀬くん登場してきたけど、よくよく考えてみるとわたしがそんなところに呼び出されてるなんて知るわけないのに。
思ったままの疑問を投げかけてみた。
「あー……あれ。たまたま教室出た廊下のところからももが連れてかれるとこ見えたから」
「それで助けに来てくれたの?」
「さすがに何かされるのわかってて見逃すほど俺冷たくないから」
いやいや、何を言いますか。
今朝のことお忘れですか?
わたしが困ってても普通にスルーしたじゃないですか。
「朝は助けてくれなかったくせに…」
聞こえないようにつぶやいたのに、耳のいい天ヶ瀬くんには聞こえてしまったみたいで。