天ヶ瀬くんは甘やかしてくれない。



「あれくらいは自分でなんとかできるでしょ」

と、返されてしまった。
おまけに「女ってほんとめんどー」とまで言われてしまった。


やっぱり天ヶ瀬くんの彼女になるということは、こういうことが頻繁に起こるくらいの覚悟はしておいたほうがいいのだろうか。

……なんだか先が思いやられる。


今回は天ヶ瀬くんが助けてくれたけど、次こんなことになったら誰を頼ればいいのか。


前をスタスタ歩いていく天ヶ瀬くんの背中を見て

ふぅ、っとため息が漏れそうになった時。

急にこちらに振り返った。


そして、ずっとポケットに突っ込んでいた手をわたしのほうに差し出してきた。

な、何かよこせと言ってるの?

わたしがキョトンとした顔で見つめてみれば。


「スマホ出して」

そう言われてカバンの中にあったスマホを手渡した。

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