天ヶ瀬くんは甘やかしてくれない。



天ヶ瀬くんがわたしのスマホをいじること数分。

何事もなかったかのように手元に戻された。


「?」

「なんかあったときの緊急用ね」


画面を確認してみると、そこには天ヶ瀬くんのスマホの番号らしきものが登録されていた。


「えっ」

まさか連絡先を教えてもらえるなんて思ってなくて、驚いてそんな声が出た。

それは顔にも出ていたみたいで。


「そんな驚く?」

「いや、だって。まさか連絡先教えてくれるなんて思ってなかったもん」

勝手なイメージだけど、天ヶ瀬くんって秘密主義って感じがして、自分のこととか教えてくれなさそうだから。


「へー、俺ってももにとってそんなイメージだったんだ?」

「んえ?」


「秘密主義っぽい?」


一瞬思考が停止して、すぐに戻った。
まさかわたし今の口に出してた!?

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