天ヶ瀬くんは甘やかしてくれない。
わたしよりも温かい愁桃の手。
いつもいつも、愁桃の手は温かい。
小さい頃、寒い時によくカイロの代わりとか言って手繋いでたなぁ。
さすがに高校生になった今はそんなことできないけど。
なんだか懐かしい。
「ふふっ」
「……おいおい。どー考えてもここは笑うところじゃねーだろ」
「ちょっと昔のこと思い出したら笑っちゃった」
「普通なら照れるところだろーが」
残念ながら、そういう対象でみていないから照れるよりも先に思い出し笑いをしてしまった。
「ほんと可愛げないのな」
「う、うるさいなぁ」
こんな会話をしてる間に電車は目的の駅に着いた。
駅から歩くこと数分でショッピングモールに到着。