天ヶ瀬くんは甘やかしてくれない。
「しゅーと!これみてみて!」
着いて早々、わたしが向かった先は雑貨屋さん。
出かける前はなんだかんだ文句言ってたけど、着いてみたらテンションが上がるもの。
もふもふのウサギのぬいぐるみを見つけて抱きしめながら、この可愛さに共感してほしくて愁桃に見せつける。
だけど、そういうのに全く興味がないから、別のところでマグカップを見てわたしの呼びかけをスルーした。
「もう、しゅーとってば!!」
少し離れた場所にいる愁桃に駆け寄った。
「んだよ。そんな似たようなの部屋にたくさんあるだろーが」
「いくつあっても可愛いじゃん」
「こんなウサギのどこがいいんだか俺には一生わかんねー」
そう言いながら、わたしの手からウサギを取り上げて元の棚に戻されてしまった。