天ヶ瀬くんは甘やかしてくれない。
「そんなやつたくさん持ってるじゃん」
「バーカ、全然ちげーよ」
「えぇ、じゃあどっちも買えばいいじゃん」
「選ぶ気ゼロかよ」
ブツブツ文句を言いながら、選ぶのにかなり時間をかけていた。
男ならスパッと決めればいいのに。
なかなか決まられない愁桃を放っておいて、店内をぶらぶら。
そこでふと思った。
……天ヶ瀬くんの私服ってどんなのなんだろう。
休日なんかに会うことなんて無いから、そんなことが気になってしまった。
天ヶ瀬くんに会えるのは明日。
前は好きだった休日は今はそんなに好きじゃない。
だって天ヶ瀬くんに会えないから。
早く会いたいなぁ……なんてことを考えていたら買い物を終えた愁桃が戻ってきた。