天ヶ瀬くんは甘やかしてくれない。

だから、まさか。

そんな天ヶ瀬くんと、2人っきりになるなんて想像もしていなかった。


「はい、2人とも日直だからこれ終わるまで帰っちゃダメだからねー？」


放課後。
担任の先生である、水野先生から呼び出された。


それは、わたしだけではなくて、
なんと天ヶ瀬くんも。


要件は日直であるわたしたちにプリントをホッチキスで止めてそれを職員室にいる水野先生のところまで持っていくこと。


「こら、天ヶ瀬くん！ちゃんと聞いてるの？」


水野先生がプリントの閉じ方を説明しているのに聞く姿勢がない。

なんだかとってもだるそう。


わたしたちのクラスの日直は当番制で、前後の席2人で日直だからたまたま今日、天ヶ瀬くんと日直が一緒。


一緒だからといって、特別何かあったわけじゃなかったけど。