守りたい人【完】(番外編完)
「ほな、朝比奈さんが、ここに来て2カ月ってとこか?」
ビールを片手にケラケラ笑う鍛冶さんが、黙々とご飯を食べる朝比奈さんにそう言う。
あまりにも相反する2人の性格に内心ハラハラしながら、作った料理を机に並べる。
「まぁ」
「それにしても、いい体してるなぁ~。俺も野球するから鍛えてるけど、朝比奈さんには負けるわ」
「鍛冶さん、野球してるんですか?」
向かい合わせに座ってビールを飲む2人の間に座って、私もビールを開ける。
すると、ゴクゴクと喉を鳴らしてビールを飲んでいた鍛冶さんが満足気に私の方に顔を向けた。
「甲子園にも出たんよ~。今は草野球やけどな。それよか、その『鍛冶さん』っての止めよか~。なんか余所余所しいわ」
「えっと、じゃぁ、なんて」
「清一郎でええよ」
「いや、それはちょっと……。――じゃぁ、鍛冶君は」
「ん~まぁ、それでもええか」
ケラケラと笑う『鍛冶君』が、私が作った料理を一口食べる度に「美味しい」を連呼している。
相変わらずの軽いノリに呆れそうになるが、悪い気はしない。