守りたい人【完】(番外編完)
「志穂ちゃんは優しいからね。何か困ってるなら力になってあげたいんでしょ?」


黙りこくった私の顔を覗きこんで、たまちゃんがニッコリ笑う。

さすが、幼い頃から一緒に過ごしてきた幼馴染だ。

私の考えている事なんてお見通しらしい。


「おせっかいかな? 私」

「そんな事ないよ」

「――…でも、話してくれるまで待ってみる」

「うん、それでいいと思うよ」


俯いていた顔を上げた私を見て、たまちゃんがニッコリと笑う。

そして、座ったまま楽しそうに足をブラブラさせて鼻歌を歌い始めた。


その姿を横目に、私も再び庭の桜に目を移す。

思い出すのは、あの夜に一緒に見た夜桜。

少しだけ笑ったように見えた、朝比奈さんの横顔。


あの人は、いつも何を考えているんだろう。

分からないからこそ、気になって目で追いかけてしまう。

話してくれない事に寂しさが募る。

まるで信用されてないようで、悲しくなる。


でも、どうしてこんなにも朝比奈さんの事が気になるのか謎で仕方ない。

きっと、単なる好奇心だとは思うけど――。
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