守りたい人【完】(番外編完)
現実を受け止める事が出来なくて、弱い私はその場から逃げた。
それでも、私が見ていた事を知ったのか、次の日彼から別れの言葉を告げられた。
『志穂に俺は必要だった?』
しっかり者の彼に釣り合おうとして、なんでも自分でやっていた私。
その事に、寂しさを覚えていたらしい。
もっと頼って、甘えてほしかったんだって。
そう言われて、あぁと思った。
だって、後輩のあの子は、甘え上手でのんびりした子だから。
あぁいう子が良かったんだ。
守ってあげたくなるような、か弱い子が。
だったら、そう言ってくれればよかったのに。
私だって、寂しくて泣きたい時も、会いたくて仕方のない夜もあったのに。
それでも、頑張って我慢していたのに――…。
だけど、作り上げられた『聞き分けのいい私』は、告げられた彼の別れの言葉にコクンと頷いた。
そして、必死に口角を上げて、さよならと口にしたんだ。