守りたい人【完】(番外編完)

しんみりとした空気が私達を包む。

なんて言っていいか分からなくて、手元にあったお茶をグイッと流し込んだ。

すると。


「あ~も~! こんな陰気臭い空気耐えられへんわっ」


今まで黙っていた鍛冶君が突然勢いよく椅子から立ち上がってそう言った。

そして、体中を搔きむしってからポカンとする私達を横目に勢いよくキッチンへ向かっていった。


そんな行動を見て、パチパチと瞬きを繰り返す私と朝比奈さん。

すると、慌ただしく戻ってきたと思ったら、鍛冶君の手には持ちきれないほどのビールがあった。


「話をまとめると、あんたは何も悪くないっちゅー事やな!? 朝比奈さん!」

「え? あ、まぁ……」

「ハッキリせぇや! あんたは暴力事件なんて起こしてない、そうやろ?」

「起こして、ない」


物凄い勢いで喋る鍛冶君に、さすがの朝比奈さんも呆気に取られている。

そして、片言のようにそう言ってフリーズしたように固まった。

そんな朝比奈さんを見て、鍛冶君は呆れたように溜息をついてから持っていたビールを勢いよくテーブルに置いた。

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