守りたい人【完】(番外編完)
「やったら、後は俺と志穂ちゃんに任せとき」
「え?」
突然名前を呼ばれて、声を上げる。
任せるとは、何をだろう。
あまりにも会話のテンポが速すぎてついていけない私に、鍛冶君はニヤリと笑った。
「明日、近所の人達の所一緒に回るで」
「――」
「濡れ衣被せられたまま、この町では住めへんやろ」
その言葉を聞いて、ピンとくる。
鍛冶君がやろうとしている事も。
そうと分かって、勢いよく視線を朝比奈さんに向ける。
すると、驚いたように黒目がちな瞳が一瞬見開かれる様子を見て私もニッコリと笑った。
「私と鍛冶君が朝比奈さんの誤解を解いてきます」
「え?」
「だって、何も悪くないのにコソコソ陰で言われてたら住みずらいでしょ?」
「――」
「ここにいてくれるんでしょう?」
そう問いかけた私の声に、僅かに朝比奈さんの瞳が揺れた。
それでも、すぐにいつものポーカーフェイスに戻って、僅かに口角を上げた。