守りたい人【完】(番外編完)
そう言って、徐に月を見上げた私を見て、朝比奈さんも同じように空を見上げた。

そして。


「いいんじゃねーの」

「え?」

「ショートカット」

「――」

「似合うと思うけど」


不愛想にそう言った言葉を聞いて、思わず吹き出してしまう。

ケラケラ笑う私を見て、朝比奈さんは目を瞬いた。


相変わらず口下手な人だと思う。

それでも、どこまでも優しくて、どこまでも温かい人。


好きだな、と思う。

この人の事が好きだなって。


笑い続ける私を不貞腐れたように睨みつける朝比奈さんを見て、無意識に頬が上がって胸が温かくなる。

大好きな人が隣にいて、一緒に過ごせるこの時間が幸せで仕方がない。


酔いも合わさってか、妙に気持ちが高ぶって頬が上がる。

嬉しくて、幸せで、時間が止まればいいのにって思う。

そう思った瞬間、今まで悩んでいた気持ちがスッと晴れていった。

心がフッと軽くなって、勇気が湧いてきた。

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